きっと何者にもなれないお前たちに告げる。渋谷野郎ラーメン、存在の耐え難い軽さ。
渋谷で24時間営業のラーメン屋といったらどこでしょう?
まず思いつくのが一蘭、次は神座といったところでしょうか。
そして三番手を忘れてはなりません。我らが野郎ラーメンです。
そんな訳で午前五時に行って参りました野郎ラーメン!
味玉野郎ラーメン、750円。
何はともあれ麺リフト!中太ちぢれ麺が期待を膨らませます。
そして一口!
刹那、渋谷二郎系の名店、526を思わせるような豚骨醤油感。
そして凛を思わせるような麺の食感。
そしてそして、中華屋のタンメンを思わせるような炒め野菜たち。
あ、悲しい。わたしは涙を必死にこらえました。
この子、何にもなれていないのです。
色んなものになろうとして、何にもなれない。
かの名作、輪るピングドラムにはこのようなキャッチコピーがあります。
「きっと何者にもなれないお前たちに告げる。」
すごい勢いで脳裏をよぎりました。
ほんこれ。ほんとうにこれ。
二郎を思わせる真っ黄色の看板が余計に空虚さを引き立てます。
そして見計らったように到着するパトカー(店の目の前ですごいケンカが起こってた)。
なにもかもがこの虚しさを御膳立てするようで。
味玉だけが唯一無二の正しさでした(おいしかった)。
でもこの子にもね、いいとこがあるんですよ。
それは卓上に設置されているカレー粉。
これを一振りすると印象がガラリと変わるのです。
お好みで黒コショウもしくは一味をふりかけて更にスパイシーに攻めたいところです。
多くを望むがゆえに何者にもなれない。でもそんないじらしさが愛おしくて。
わたしは多分またここに来ます。
次は汁なし野郎かな。
あなたの存在に、ほんの少しでも厚みを与えられますように。
またねー!